廃車手続きでスクラップを選ぶのはどんな時?手続き方法や費用を徹底解説
所有している車に乗ることが二度とないという場合の選択肢のひとつに、永久抹消登録を行い、車をスクラップにするというものがあります。
しかし明確にスクラップにすると決めている場合はよいのですが、廃車にするか乗り続けるか悩み、なかなか結論を出せないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、スクラップをすべきかどうか決める基準についてお伝えしながら、スクラップの手続き方法や費用について徹底解説します。
廃車とスクラップはどのように違うのかなど、基礎的な情報も交えながらご紹介していきます。
廃車の際にスクラップを選ぶべきタイミング
車の劣化が目立ち始めたとき、そのまま修理を重ねて乗り続けるべきか、それとも廃車にしてスクラップにすべきなのかで悩む方は多いはずです。
まずはスクラップを選ぶべきタイミングを、ケースごとに詳しくご紹介します。
走行距離が20万kmを上回ったとき
車の寿命は走行距離10万kmが目安です。
最近の車は耐久性が増し、10万kmオーバーでも安全に走れることが多いのですが、やはり20万kmを突破した場合には、このタイミングが寿命と考えなければなりません。
中古車市場においても、走行距離20万kmを超えると買取に応じてくれなくなることがほとんどです。
自分自身で運転を続けていても、車の劣化によって事故が発生することもありますので、このタイミングでスクラップにし、買い替えることをおすすめします。
フレームの修復が必要になったとき
大きな事故を経験すると、フレームにダメージが及び、フレームの修復をしなければ車の運転を再開できなくなることがあります。
フレームの修理には100万円以上がかかることが多く、コンディションのよい中古車に買い替えたほうが安上がりです。
また、フレームの修復を行った車は「事故車」として扱われます。
事故車は中古市場においても需要が少なく、価値が付きません。
無理に売却を目指して余計な時間を使うよりも、潔くスクラップに出したほうが効率的です。
目に見えるほど大きな傷みがあるとき
走行している最中にガタガタと揺れたり、エンジンから異音がしたり、真っ直ぐに走らなくなったりした場合も、スクラップを選ぶべきです。
走行には大きな問題を感じなくても、雨漏りが起きたりしている場合も同様にスクラップにすべきでしょう。
これらの症状が発生している場合、放置して車に乗り続けていると突然故障することがありますし、万一の事故の際に大破する確率も高まります。
修理には多額の費用がかかる症状ばかりですので、廃車にしてスクラップを選ぶことをおすすめします。
廃車とスクラップはどのように違うのか
廃車とスクラップは頻繁に混同されますが、この2つを細かく見ていくと全く違う意味合いを持つ言葉だということが分かります。
簡潔に言えば、廃車という言葉は事務手続きそのもののことを差し、スクラップは解体作業のことを指します。
例えば、再び車に乗る可能性のある一時抹消登録のことを「スクラップにする」というのは、正しい表現ではありません。
永久抹消登録に関しても、手続きに向かうことを「スクラップしに行く」と表現するのは、厳密に言えば正しいとはいえないのです。
永久抹消登録の優先順位はスクラップが上
永久抹消登録を行う場合、優先順位としてはスクラップが廃車手続きよりも先になります。
永久抹消登録の必要書類の1つに、解体(スクラップ)を証明する物が必要となるため、スクラップよりも先に廃車手続きを終えることはできないのです。
逆に言えば、スクラップをすると必然的に永久抹消登録を行うという流れになります。
スクラップにした車を復活させて公道に出ることは原則としてできませんので、一時抹消登録を選ぶのか、永久抹消登録を選ぶのかは慎重に決断しましょう。
廃車にする車をスクラップするための方法
車をスクラップするための方法は、大きく分けると3つあります。
・自分自身でスクラップ工場に運ぶ
・ディーラーにスクラップを依頼する
・廃車買取業者に一任する
具体的には、このいずれかの方法を選んでスクラップすることになります。
それぞれに特徴やメリットとデメリットがありますので、どのような違いがあるのかを3つの項目に分けてチェックしてみましょう。
自分自身でスクラップ工場に運ぶ方法
結論から言えば、この方法を選ぶことは最もおすすめできません。
非常に多くの手間がかかることがその理由ですが、実際にどのような手順で手続きをするのか解説します。
- 解体業者に依頼する
まずは自宅近くの解体業者と連絡を取り、解体を受け付けてくれるように依頼します。
しかし最近では専門業者からの依頼しか受け付けない解体業者が多く、個人での依頼は拒絶されることが増えており、希望する地域ではスクラップができない可能性があります。
- 一時抹消登録を済ませる
本来であれば不要な手続きですが、解体業者に個人で依頼を行う場合、トラブル防止という観点から事前の一時抹消登録を利用条件とされることがあります。
この場合の手続きは基本的にすべて自分自身で行うことになります。
- 解体業者に車を引き渡す
廃車する車を解体業者に運び、スクラップを依頼します。
スクラップが完了するまでにかかる期間の目安は1~2週間前後です。
解体が完了すると、依頼した業者から解体通知が届きますので、これを使って永久抹消登録を行います。
- 永久抹消登録を行う
解体通知を含む必要書類を揃えて、永久抹消登録を行います。
永久抹消登録の手続きは、解体業者に代行してもらえることがあります。
ディーラーにスクラップを依頼する方法
ディーラーなどの販売店にスクラップを依頼することができます。
普段から利用しているディーラーや、新車を購入した際に利用したディーラーに依頼すれば、細かな相談にも乗ってもらいやすく、信頼感を持ってスクラップを行うことが可能です。
手順は非常に簡単であり、ディーラーにスクラップの依頼を行い、車を引き取ってもらうという2つのステップを踏むだけです。
レッカーなどのサービスにも期待でき、非常にシンプルなこともメリットといえるでしょう。
ただし、ネックになるのはスクラップを依頼するための手数料がかかることです。
手厚いサポートを受けられ、手間がかからずにスクラップできることはメリットですが、その他の方法と比較すると金銭的な負担が大きいことがデメリットになります。
廃車買取業者に依頼する方法
最もおすすめできる方法が、廃車買取業者への依頼です。
依頼の手順としてはディーラーへの依頼と全く同じで、利用したい廃車買取業者に対してスクラップの依頼を行い、その後に業者へ車を預けて、スクラップ完了を待つという流れになります。
なぜ廃車買取業者がおすすめなのかといえば、手数料がかからず、スクラップの依頼料もかからないことが多いためです。
費用相場については次の項目で詳しくご紹介しますが、スクラップ費用を支払うどころか、売却益が手に入ることもあります。
廃車のスクラップにかかる費用相場をご紹介
廃車のスクラップを依頼する方法は、上記でご紹介した3種類の中から選ぶことが普通です。
費用相場としてはディーラーが最も高く、廃車買取業者が最も安いのですが、その理由は何なのでしょうか。
まずは表を使って各方法の費用相場をまとめます。
方法 | 廃車費用 | 廃車買取 | 手続き代行 |
自分で手続きを行う | 約3万円 | △ | △ |
ディーラー | 約8万円 | △ | 〇 |
廃車買取業者 | 約0~3万円 | 〇 | 〇 |
ディーラーに依頼すると、その他の方法と比較して2~3倍の廃車費用がかかることが一般的です。
手厚いサービスにその価値を感じられるのであればよいのですが、料金重視であれば廃車買取業者の利用をおすすめします。
廃車買取や手続き代行に応じてくれるかどうかは、業者のサービス次第で異なります。
確実に両方に対応してくれるのは廃車買取業者です。安く、廃車買取や手続き代行も依頼できますので、非常にバランスが良く優れたサービスといえるでしょう。
廃車買取に応じてくれる業者の場合は、スクラップの費用が黒字になることがあります。
スクラップにかかる費用を買取価格が上回れば黒字となり、廃車手続きにかかる費用を差し引いても現金が手元に残る可能性が高くなるのです。
廃車買取業者が有料で車を引き取る理由
中古車販売業者に見積もりを依頼すると「買取不可能」とされてしまうような車だとしても、廃車買取業者なら有料で引き取ってくれることがあります。
なぜ現役として活躍できないほどの状態になった車に、廃車買取業者は高い価値を付けるのでしょうか。
その理由は、廃車買取業者が様々なネットワークを活用して、買取した車を売却しているためです。
一度スクラップにした車を海外で組み直して中古車として売却することもありますし、価値のあるパーツを分解して、単品で売却することもあります。
売却できるパーツが見当たらなかった場合は、車そのものを鉄くずとして売却しています。
個人レベルでは大してお金になりませんが、事業化することによって規模のメリットが出てくるため、スクラップ費用を無料にし、さらに車を買い取ることも可能なのです。
スクラップ後は還付金が貰える場合もある
スクラップの際には永久抹消登録を行うことになりますが、この手続きでは自動車税や自賠責保険料の還付を申請することができます。
これらの費用は1年分や2~3年分を先払いで支払いますが、使用しなかった期間の費用は取り戻すことができるのです。
例えば年額50,000円の自動車税を支払い、4ヶ月目で廃車を完了させたとしましょう。
この場合は5~12ヶ月目の期間を残して車に乗られなくなる状況を作るということになります。
月割りすると4,167円ですので、7ヶ月分の29,169円が還付されます。
還付金は廃車手続きの際に申請しなければ支払いを受けられないことに注意しなければなりません。
廃車買取業者では、この手続きも含めて代行してくれることが多く、スクラップによりさらに黒字を作れる可能性もあります。
スクラップを依頼する際の廃車買取業者の選び方
スクラップを廃車専門業者に依頼する場合は、トラブルがなく、質の高い業者を選択することが重要です。
スクラップを速やかに、そして確実に行ってくれる業者の特徴をまとめてみましたので、これを参考にしながら業者選びを進めましょう。
レッカー移動に対応してくれる業者を選ぶ
スクラップを希望する場合、車が既に自走できないコンディションにまで落ち込んでいることが珍しくありません。
故障していたり、車検が切れたりしている場合、そもそも解体業者まで車を運ぶことができないのです。
そのため、まずはレッカー移動に対応してくれる業者を選びましょう。
レッカー移動ができるかどうか、さらに有料か無料かという設定は業者によって異なります。
なるべく費用を抑えてスクラップにするためには、無料、あるいは安価でレッカー移動に対応してくれる業者がおすすめです。
自社工場を持つ業者に依頼する
廃車買取業者の中には、自社で事務作業のみを行い、スクラップは委託先に一任するという会社もあります。
技術的な問題はないことがほとんどですが、中間マージンが発生しますので、こういった会社ではスクラップを安価にすることに期待することができません。
きちんとした見積もりを出せる業者を選ぶ
基本的なことですが、依頼前にきちんとした見積もりを出せる業者を選ぶことも大切です。
廃車買取業者の場合、解体費用は0円と言いながら、その他の諸費用を上乗せすることがあります。
見積書の内容には必ず目を通し、無駄な費用が差し引かれていないか確認しましょう。
まとめ
スクラップを依頼するか、それとも修理して乗り続けるかを見極めるポイントはいくつもあります。
修理費用が高い場合や、20万kmを超える走行距離の場合は、現在使用している車を廃車にして、新しい車に乗り超える決断を下したほうが賢明と言えます。
スクラップを依頼する業者としては、価格が安くサービスも手厚い廃車買取業者の利用がおすすめです。
廃車買取業者では、ボロボロになった車を買取ってくれることも多いほか、スクラップにあたっての各種手続きの代行も行ってくれる場合があり、廃車をスムーズかつお得に進められるでしょう。