廃車手続きを行う際には、いくつかの必要書類を揃えなければなりません。
この際に必要な書類の1つに「印鑑証明書」があります。
それでは、廃車をする際になぜ印鑑証明書が必要で、印鑑証明書はどんな役割を果たすのでしょうか。
この記事では、廃車手続きに必須の印鑑証明書について、取得法や注意点なども交えながらお伝えします。
イレギュラーな状況により、印鑑証明書を取得できない場合にはどうすればいいのかも含めて、詳しく解説しましょう。
そもそも印鑑証明書とは何なのかというと、これは市区町村の役場に対して登録を行っている印鑑の証明書です。
重要な手続きを行う際には実印の押印が必要になりますが、その印鑑が確実に本人のものであると証明する場合に、印鑑証明書が必要になります。
印鑑証明書がないと、書類に捺されている印鑑が本当に本人の物なのか、偽物なのかがわかりません。
なりすましで勝手に車を廃車にされてしまうことを避けるために、廃車手続きの際には印鑑証明書の提出が必須となっているのです。
廃車手続きは、一時抹消登録と永久抹消登録の2種類に分かれています。
それぞれ必要書類が少しずつ異なるのですが、印鑑証明書に関してはどちらの手続きをする場合でも必須の書類となります。
また、解体届出を入手する際にも印鑑証明書が必要です。
一時抹消登録を行っていた車を解体するという場合は、合計で2回印鑑証明書を取得する必要が生じるので、再び乗る予定がない車を廃車にする場合は、永久抹消登録をすることがおすすめです。
印鑑証明書が必要となるケースは、普通車を廃車にする場合のみです。
軽自動車を廃車にするときにも印鑑が必要ですが、実印ではなく認印でも構いません。
軽自動車の取引で印鑑証明書は不要なので、普通車を廃車にする場合のみ入手しましょう。
印鑑証明書は基本的に役所の窓口などで発行するものですが、現在はコンビニで発行することも可能になっています。
また、本人が窓口に行くことが難しい場合は、代理人に発行を依頼することもできます。
ここからは、印鑑証明書の取得方法について詳しくご紹介します。
印鑑証明書は、市区町村の役所にある担当窓口で発行することができます。
窓口には「印鑑登録証明書交付請求書」という用紙が置かれているので、これに必要事項を記入してから担当窓口へ提出しましょう。
必要な書類は以下のとおりです。
1.本人が申請する場合
・印鑑登録証(印鑑登録カード)あるいはマイナンバーカード
・本人確認書類
・手数料(300円)
2.代理人が申請する場合
・廃車をする人の印鑑登録証(印鑑登録カード)
・代理人の本人確認書類
・手数料(300円)
本人確認書類は、運転免許証やパスポート、健康保険証などで構いません。
顔写真付きのものが好ましいのですが、そうでない書類でも手続きを行えます。
コンビニでの交付を認めている地方自治体なら、コンビニのマルチコピー機を使って印鑑証明書を取得できます。
この場合に必要となる書類は役場の窓口とは異なり、より簡単になります。
ただし、代理人が申請することはできません。必要書類は以下のとおりです。
・マイナンバーカード
・手数料(200円)
コンビニで発行する場合は、必要書類が減るほか、申請書に記入する手間もかかりません。
また、手数料も300円から200円にまで下がります。
平常時であれば、朝の6時30分から午後11時までの間ならいつでも発行できるため、とても便利です。
もちろん役所で発行する印鑑登録証と内容はまったく変わりませんし、効力も同じです。
日中に役所まで足を運べない方でも取得しやすくなっていますから、コンビニで申請することをおすすめします。
廃車手続きに合わせて印鑑証明書を取得する際には、いくつかのポイントに注意しなければなりません。せっかく取得しても無駄になってしまう可能性がありますから、これからご紹介する点には注意しておきましょう。
廃車手続きの際に利用できる印鑑証明書は、発行日から3ヶ月以内のものでなければ有効と認められません。
早めに取得して準備していた場合、もう1度取得しなければならなくなりますから、有効期限に注意しましょう。
印鑑登録がまだ済んでいないという場合は、印鑑証明書を発行すること自体ができません。
この場合は、まず役所で印鑑登録の手続きを行うことが必要になります。
登録を希望する実印と身分証明書、手数料として300円を持参して、印鑑登録を行いましょう。
担当窓口は時期によって混み合うことがあります。
特に引越し時期と重なる3月下旬頃は窓口が混みやすく、取得までに時間がかかることがあります。
この時期の利用はできる限り避けるか、コンビニのマルチコピー機を使った取得に切り替えることがおすすめです。
以前に印鑑登録を行っていたとしても、そのときと現在とで戸籍上の苗字が変わっている場合は、印鑑証明書を取得することはできません。
苗字が変わった瞬間にそれまでの印鑑登録は失効しますから、結婚・離婚などを経験された肩の場合は要注意です。
この場合は、新姓で新しく印鑑登録を行うことで新しい印鑑証明書を取得できるようになります。
申請方法は先ほどご紹介した新規登録と変わらず、手数料と身分証明書を管轄する役所に持ち込んで申し込むだけで大丈夫です。
印鑑証明書には、氏名のほかに住所も記載されています。
この住所が車検証の住所と一致地していない場合、廃車が認められることはありません。
この場合は、有効な印鑑証明書のほかに、追加の書類を用意して対応しましょう。
車検証を取得した後の引越しが1回だけという場合は、住民票が有効な追加書類になります。
引越しの数が2回以上の場合は、戸籍の附票が必要です。
引越しの回数に応じて必要な書類が変化するので、書類の中身を間違えないように注意しましょう。
何らかの事情によって、すぐに印鑑証明書を用意できないことも起こり得ます。
こういったイレギュラー発生時に、少しでも早く廃車を行う場合にはどう対処すべきなのでしょうか。
シチュエーション別の対処法を確認しておきましょう。
実印を紛失してしまった場合、印鑑証明書を取得できても、実印と証明書の印が一致しないため廃車を行えません。
この場合はまず古い実印の紛失届を出し、その後に新しく実印を用意して、印鑑登録をやり直します。
紛失届は、原則として印鑑登録を行った役場で提出することになります。
新しい実印を登録する場合は「改印届」を出して手続きを行います。
実印は悪用されると大きな問題に発展しますから、少しでも早く紛失届と改印届を提出しましょう。
相続によって自動車を引き継ぎ、名義変更を行わずに車に乗り続けていた場合は、自動車の名義と事実上の使用者の名前が一致しません。
印鑑証明書は代理人でも取得できますが、亡くなっている方の印鑑登録は失効するので、故人の印鑑証明書の取得は不可能です。
この場合は、まずは自動車の名義変更手続きを行います。
兄弟など複数の相続人が存在する場合には、相続人全員分の印鑑が捺されている遺産分割協議書の作成が必要です。
これに加えて代表相続人の印鑑証明書を添付して、名義変更手続きを行いましょう。
自動車の名義変更が済めば、その人物が所有する車として取り扱われるようになります。
自動車の名義人と同じ人物の印鑑証明書を用意して、その他の書類と合わせて提出すれば、通常の手続きと同じように廃車を行えます。
遺産相続で揉め事が起こり、車の新しい所有者が決まらないという場合は、印鑑証明書を取得するための前提条件となる自動車の名義変更を行えません。
このままの状態で放置していると、自動車税などがかかり、不要なはずの車の維持費が発生してしまいます。
相続で揉めているというのは非常事態ですが、こういったケースでも例外として廃車が認められるということはありません。
基本的な解決策としては、少しでも早く遺産分割の内容をまとめて、自動車の名義人を確定させる以外にはないのです。
しかし、廃車を完了させられなかったとしても、自動車税や自賠責保険料の発生をストップさせる方法があります。
それは、名義変更や廃車手続きに先駆けて自動車を解体してしまい、陸運局に対して解体証明書を提出するという方法です。
解体証明書を提出すれば、その段階で自動車税の請求は届かなくなり、自賠責保険料の支払い義務も発生しなくなります。
遺産分割協議の膠着状態が続いても、解体証明書の提出から5年が経過すると自動的に抹消登録が行われるため、自然に廃車にすることが可能です。
印鑑証明書は、実印が自分自身の物であることを証明するために使うものであり、なりすましによる廃車を阻止するために必須です。
印鑑証明書は役所やコンビニで簡単に発行できるので、時間に余裕を持って用意しておきましょう。
特に気を付けるべきポイントは、発行から3ヶ月以内の印鑑証明書でなければ有効にならないことと、車検証の住所や氏名と一致しない場合は無効になることです。
イレギュラー発生時などには、この記事でお伝えした対処法を参考にして廃車手続きを進めましょう。