廃車手続きを行う際には、必要書類と併せてナンバープレートを窓口に提出しなければなりません。そうなると気になるのは「渡してしまったナンバープレートを持ち帰ることができるの?」という問題ではないでしょうか。
記念日や誕生日のナンバーを取得したり、図柄入りのナンバーを取得したりした方にとっては、ナンバープレートへの思い入れも強いはずです。
この記事では、廃車後の記念にナンバープレートを手元に残すための方法を紹介します。
日本の法律では、ナンバープレートは原則として返却するように求められていた時代が長く、ナンバープレートの保存はできないと考えている方が多いかもしれません。
しかし、2020年現在では、ナンバープレートを記念品として保存することが認められています。
これは、2017年4月の法改正によって許可されるようになりました。きっかけとなった出来事は、東京オリンピック開催を記念した図柄入りのナンバープレートが登場したことです。
これを保存できるように、道路運送車両法が改訂されました。
保存が可能となるナンバープレートの種類は図柄入りだけに限らず通常のナンバープレートも一定の破壊措置を加えることで、図柄入りナンバーと同じように持ち帰ることができます。
たとえば誕生日をナンバーにしている方や、結婚記念日をナンバーにしている方、はじめて乗った車のナンバーなども持ち帰ることが可能です。
持ち帰りを希望しないとそのまま処分されてしまいますから、手元に残したい場合には必ず持ち帰りのための手続きを行いましょう。
それではなぜ2017年以前はナンバープレートの持ち帰りが認められていなかったのでしょうか。
その理由は、ナンバープレートを手元に残されてしまった場合、何らかの犯罪に悪用される可能性があると考えられていたためです。
意図的に道路交通法違反を犯そうとする人や、犯罪のために車を利用しようと考えている人にとって、偽のナンバープレートはとても貴重です。
しかも「実際に使われていた本物」なのですから、犯罪者にとってこれ以上に都合の良い物はありません。
また、ナンバープレートは私物ではなく、陸運支局から借りているものという扱いであることも関係しています。そもそも借り物なのだから、使わなくなったら返却するのが当たり前という理論に基づき、返却が義務付けられていたのです。
廃車のナンバープレートを持ち帰る際には、以下の2つの注意点があることを覚えておきましょう。
先ほども軽く触れましたが、ナンバープレートを記念品にするためには「一定の破壊措置」が必要なので、この点は事前に理解しておかなければなりません。
廃車にした車のナンバープレートを保存するためには、本体に直径40ミリ以上の穴を空けて破壊措置をとることが義務付けられています。
この措置をそらなければ、ナンバープレートを持ち帰ることは認められず、従来の決まり通りに回収されてしまいます。
前の項目でもお伝えした通り、ナンバープレートは犯罪に悪用される恐れがあります。
記念品として残すためには、現役として利用できる物なのか、それとも廃車された無効な物なのかを判断しやすくするために、穴開けの措置が求められているのです。
そのため、残念ながらナンバープレートを無傷のままで保存することはできません。
直径40ミリというと、100円玉2個分程度の大きさになりますから、ある程度目立つ傷が残ることは了解する必要があります。
後に手順を紹介しますが、ナンバープレートの破壊措置(穴開け)を担当者に依頼する場合には、別途手数料がかかります。
費用は地域によって異なりますが、300円~500円が必要になることが一般的です。
自分自身で破壊を行う場合には手数料がかかりません。
ただし、慣れない作業ですから、ミスをして無関係な場所に傷を付けてしまう恐れもあります。
記念品として大切に扱うなら、有料でも担当者に一任することがおすすめです。
廃車のナンバープレートを持ち帰るためには、まず通常通りの手続きで廃車を完了させる必要があります。
普通自動車の場合は陸運支局で、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で、ナンバープレートを含めた必要書類を揃えて手続きを行いましょう。
法改正が行われたとはいえ、現状はナンバープレートを返却するというのが基本的な廃車手続きの流れになります。
そのため、通常通りの手順で廃車を進めていると、ナンバープレートを回収機に投入するよう求められるため注意が必要です。
ナンバープレートの持ち帰りを希望する場合は、この際の窓口にいる担当者に「ナンバープレートを持ち帰りたい」という希望を伝えましょう。
すると「記念所蔵ナンバー破壊申込書」を入手できるので、これに必要事項を記入して手続きを行います。
先述の通り、記念所蔵ナンバー破壊申込書を提出すると、自分でナンバープレートを破壊するか、職員にナンバープレートを破壊してもらうかを選べます。
なるべく失敗せずに破壊してもらいたい場合は、職員に破壊を依頼すると良いでしょう。
ナンバープレートの破壊が完了すると、廃車手続きを終了させる際に「破壊完了印」を書類に付けてもらうことができます。
これは「ナンバープレートを持ち帰ってよい」という証になるので、そのままナンバープレートを持ち帰って大丈夫です。
落ち着いて破壊を行いたいという場合には、自宅に持ち帰ってから穴開けをすることも可能です。
ただし、これは事前に認可を受けなければならない方法であり、地域によっては対応していない場合があるため注意しましょう。
この方法を選ぶと、少なくとも2回以上は陸運支局や軽自動車検査協会に足を運ばなければなりません。
いずれも平日の日中のみしか営業を行っていないので、一般の会社員にとってはスケジュールの調整が難しいでしょう。
ナンバープレートの保存が可能になったことを受け、最近では廃車にしたナンバープレートを額装するサービスが増えています。
穴が開いている部分にはシールを貼ったり、穴が見えないように白色の土台にナンバープレートを乗せたりなど、きれいに保存するための様々な工夫が凝らされています。
有料のサービスにはなってしまいますが、愛車の写真と一緒に飾れるデザインの額なども用意されており、ナンバープレートを大切に保存したい方にとって非常に嬉しいサービスです。
保存方法の一つとして選択肢に入れるとよいでしょう。
2017年の法改正によって、廃車のナンバープレートを持ち帰り、保管できるようになりました。
ただし一定の破壊措置が必要で、犯罪を予防することを目的に40ミリ以上の穴を開けなければ持ち帰ることが認められていません。
この手続きは、廃車手続きと同じ日に陸運支局または軽自動車検査協会で行うことができます。
穴が目立たなくなるように工夫された額装サービスもあるので、大切に感じているナンバープレートは持ち帰って保管しましょう。