廃車手続きを行う際の必要書類として「委任状」が含まれることがあります。
これはある特定の状況下において用意する必要がある書類なのですが、自分が用意しなければならないものなのかどうか分からないという方も少なくはないでしょう。
廃車の際、委任状はどんな人が提出しなければならないのでしょうか。
そもそも委任状はどんな意味が込められた書類なのか、必要な場合はどのように書けば良いのかなど、委任状に関する情報を記事の中で詳しく紹介していきます。
委任状とは、本来自分自身で行うことが必要な手続きを、特定の誰かに任せる場合に必要となる書類です。
廃車手続きを家族に任せたり、廃車業者に依頼したりする場合などには、その他の必要書類と合わせて委任状を用意しなければなりません。
なぜ委任状が必要なのかというと、第三者から勝手に手続きをされることを防ぐためです。
自分自身が希望していないにも関わらず、勝手に廃車にされてしまったとしたら大変ですよね。それを予防するために提出する書類が委任状になります。
委任状は「手続きをこの人に任せました」と、陸運支局や軽自動車協会の担当者に証明するために必要です。
これが無ければ、担当者は本当に本人が合意しているのかどうかを確かめられないため、廃車手続きの書類を受理することができません。
委任状は誰かに廃車手続きを任せる際の証明として使う物なので、自分自身で手続きをする場合は用意しなくて構いません。
担当者としては、本人が廃車を希望しているかどうかを委任状で確認することが重要なので、本人が窓口に現れれば疑われることはないのです。
逆に言えば、委任状さえあれば本人がその場にいなくても必要な手続きがスムーズに行われてしまいます。
委任状にサインする際には、何のために用意する委任状なのか、その手続きは自分が望むものなのかをよく考えて、信頼できる人物に託すことが重要です。
委任状は、廃車手続きを行うことになる陸運支局と軽自動車協会の現場で入手できます。
事前に何らかの機会があり、現地まで足を運ぶことがあるならば、そこで原本を持ち帰って作成すると良いでしょう。
現地に行くことが難しい場合は、インターネットから書式をダウンロードすることが可能です。
陸運支局や軽自動車協会のホームページで書式が公開されているので、そこからダウンロードしてプリントアウトしましょう。
委任状には、手続きを任せる人と任される人、両方のサインが必須です。
委任された人が申請当日に窓口で書類を入手しても、委任状を作ることができません。
いずれかの方法を選び、申請日までに必ず準備をしておきましょう。
業者やディーラーに廃車を依頼する場合は、先方が予め委任状を用意していることが一般的です。
この場合は業者側から委任状を渡されるので、住所や氏名を書き込み、実印を押して業者に返すだけで手続きを進めることができます。
委任状の用意が必須であることが分かったら、さっそく申請当日までに委任状を作成して備えましょう。
ここからは、委任状の作り方を解説します。注意点と合わせて確認し、ミスのないように準備することが大切です。
委任状を作成する際に必要な物は以下の3つです。
・ボールペンなどの消しゴムなどで修正できないペン
・印鑑証明書
・実印
委任状はとても効力の強い書類なので、途中で勝手に修正されないように注意しなければなりません。
そのため、鉛筆やシャープペンシルなどを使うことは不可能です。
ボールペンも消えるタイプではなく、修正できないタイプの物のみ利用できます。
委任状には住所や氏名を記載することになりますが、この内容は印鑑証明書の内容と一致している必要があります。
相違なく書き込むために印鑑証明書を用意しましょう。
実印については、印鑑証明書の印鑑と全く同じ物でなければなりません。
書式を確認すると分かりますが、委任状の内容は非常にシンプルです。
書き込むべき情報も決して多くありませんから、作成をはじめてから数分あれば問題なく有効な委任状を作ることができるはずです。
委任状には「委任者」(依頼をする人)と「受任者」(手続きをする人)がそれぞれ書く項目が用意されています。
書類の上部には、受任者の住所や氏名を記載します。
この部分は委任者ではなく、受任者本人が書き込んでも大丈夫です。
反対に、委任者の欄には委任者本人が住所と氏名、委任した日付を記入しなければなりません。
最後に印鑑証明書の印鑑と同じ実印を押せば委任状は完成します。
重要な書類ですが、これだけで完成させることができるのです。
申請当日は、窓口で受任者の本人確認が行われます。
例えば受任者を弟に指定していた場合、弟以外の人物がその委任状を使って手続きをすることは不可能です。
弟の都合が悪くなり、代わりに妹が廃車手続きをするということはできないので注意しましょう。
委任状を書き損じてしまった場合は、消しゴムや修正テープを使った修正は認められていません。
新しく委任状を入手して書き直すか、訂正したい箇所に二重線を引き、さらに実印を押します。
空いたスペースに正しい情報を記入して訂正しましょう。
廃車手続きを代理人に依頼する際は、委任状以外の関連書類を提出するように求められることがあります。
場合によっては、委任状があっても廃車手続きの申請を認められない可能性があるため、どんな場合に何を用意しなければならないのかを整理しておきましょう。
普通自動車を譲渡する場合には、譲渡証明書の提出が求められます。
これは車を登記する際に、所有者の名義を変更するために提出が必要な書類です。
例えば中古車として車を売却し、新しいオーナーに明け渡す場合には、譲渡証明書が必要になります。
その他にも、管轄する陸運支局の都道府県が変わるときに譲渡証明書が必要です。
所有者のナンバープレートが「品川」「世田谷」など東京の管轄だったとして、委任する業者が神奈川県や埼玉県など他県の業者という場合には、譲渡証明書を用意しましょう。
業者に中古車を売却する場合、譲渡証明書を用意すると、車の所有者が本人から業者へとスムーズに変わります。
その後に万一事故が起きたとしても、自分自身の責任になったり、手続きが必要になったりする心配がなくなるため、必ず用意しましょう。
譲渡用名所には、車名や型式、車体番号などの情報を記入した上で、譲渡年月日や譲渡人(車を売る人)と譲受人(車を買う人)の氏名と住所を記載します。最後に譲渡人が印鑑を押せば完成です。
軽自動車の廃車手続きを行う場合は、申請依頼書を用意することにより、委任状と譲渡証明書の両方の役割を1枚で兼ねることができます。
申請依頼書さえ用意すれば、これだけで名義変更を含むいくつかの手続きをすることが可能です。
申請依頼書は、原則としてすべての内容を自分自身で記入します。
代理人に定める人の氏名と住所、依頼する手続きの内容、車両番号・車体番号、申請依頼書を作成した年月日、使用者と所有者の住所・指名を書き込んで、認印を押せば準備が整います。
委任状を用意するということは、陸運支局や軽自動車協会で行う手続きを、車を廃車にする人以外が行うということになります。
そのため、本人が行う廃車手続きは、必要書類を揃えて受任者に託すというだけです。
必要書類は一時抹消なのか、永久抹消なのかによって変わります。用意すべき書類とその後の手続きの流れについてまとめておきましょう。
一時抹消登録は、車を手元に残しながら一時的に登録を抹消する際に行います。
将来的にその車に乗る可能性がある場合には、こちらの手続きを選びましょう。
一時抹消を代理人に任せる際、用意する書類は以下のとおりです。
・委任状
・車検証
・印鑑証明書
・前後のナンバープレート
・手数料納付書
・申請書
・自動車税・自動車取得税申告書
これらの書類をすべて集めて、代理人が陸運支局に向かいます。
受理されればその場で手続きが完了するので、その日のうちに一時抹消できます。
なお、一時抹消には手数料が350円かかり、これは申請当日に印紙を購入して支払います。
永久抹消登録は、その車を廃車にして二度と乗らない場合にとる手続きです。
廃車業者などに依頼して、車を解体(スクラップ)する場合にはこちらを選びましょう。
必要書類は以下のとおりです。
・委任状
・申請書
・登録識別情報等通知書
・移動報告番号のメモ
・解体記録日のメモ
・手数料納付書
手続きの手順は一時抹消と同じです。
永久抹消でも手数料納付書が必要ですが、形式的なものであり、一時抹消のような手数料はかかりません。
廃車手続きの際、代理人に窓口での申請を依頼する場合に限って委任状が必要になります。
委任状には手続きを任せる人と任される人、両方の直筆のサインが必要です。
委任状を受け取った人は、その他の書類と合わせて窓口で手続きを行います。
委任状は家族や友人に任せることもできますが、専門業者を活用したほうが安全かつ確実です。
手続きでミスが起こる心配がなく、書類も簡単に入手できます。
窓口の受付時間を気にする必要もないため、受任者に負担をかけることもありません。