廃車にしたい車が車検切れになっている場合、公道を走らせることができず、通常と比べて手続きが困難になります。
面倒で放置してしまうという方もいるかもしれませんが、それでは後に大きな問題が生じることになるため要注意です。
この記事では、車検切れの車を廃車にせず放置していると起こる問題点をご紹介し、廃車に向けた具体的な手順や費用相場をお伝えします。
注意点についても併せて解説しますので、車の処遇にお悩みの方はぜひ参考になさって下さい。
車検切れの車に今後乗るつもりがないという場合、その後の手続きが面倒だからという理由で駐車場に置いたまま放置してしまう方は少なくありません。
そうしていても法律に違反することはありませんが、維持費がかかり続けることが問題です。
戸建ての持ち家に駐車場がある場合は別として、月極駐車場を借りるとなると、相応の金額の出費が続くことになります。
都心の場合は1ヶ月2~3万円以上になることも珍しくなく、年間で数十万円単位のコストが無駄になるのです。
自動車税は、運輸支局において登録されている車であれば、たとえどんなコンディションだとしても納税する義務が生じるものです。
車検切れで公道を走れない車にも自動車税はかかるので、後に請求が届き驚いてしまう可能性があります。
自動車税の課税をストップさせるには、その車を確実に廃車にしなければなりません。
これからご紹介する手順通りに手続きを進めれば、既に車検が切れている車でも正常に廃車手続きを完了させられるので、無駄な出費を減らすために素早く廃車を済ませましょう。
車検切れの車で公道を走ることはできません。
そのため気軽に車検を受け直すこともできず、業者に車を持ち込んで査定を受けることも不可能です。
しかし車検切れの車でも、次にご紹介する2つの方法を活用すれば、簡単に不要な車を廃車にすることができます。
自分自身で運転して廃車にしたいという場合は、仮ナンバーを取得して一時的に車を復活させることがおすすめです。
管轄する役場の窓口で所定の手続きを行い、許可を得られれば、その日から最大5日程度は目的を果たすための運転が認められます。
仮ナンバーを取得したら、廃車業者や買取業者の店頭に車を運び、その場で解体や売却といった処分の依頼を行いましょう。
解体や売却を行った後、廃車手続きの一切を専門業者に任せることもでき、とても便利です。
仮ナンバーの発行には以下の書類が必要です。
・身分証明書(運転免許証など)
・認印
・車検証
・自賠責保険証明書
なお、仮ナンバーの取得には自賠責保険への加入が必要になります。
保険の契約期間が切れている場合は、再度契約を結び直さなければなりません。
また、仮ナンバーは返却する義務がありますので、手続き完了後は速やかに返還しましょう。
仮ナンバーの取得にはさまざまな手続きが必要ですし、自賠責保険にも加入しなければなりません。
陸運支局等に足を運ぶ手間がかかることもデメリットですが、専門業者に直接依頼すればこういった問題をすべてクリアにして廃車を行えます。
車検切れの車は業者でも自走させることはできませんが、レッカーを使って移動させることにより速やかな引き取りを行っています。
最初から業者に依頼してしまえば、わざわざ仮ナンバーを取得する必要がなくなるのです。
レッカーによる移動はオプション扱いとする業者もありますが、この際の費用も1~2万円程度が相場とリーズナブルです。
さらに、非常に多くの業者が無料でレッカー移動を引き受けており、金銭的な負担はかかりません。
また、エンジン等の故障によって走行できないコンディションにまで劣化していたとしても、レッカー移動させればかんたんに査定を受けられます。
大きな事故を経験したなどの事情がある車も、この方法で廃車にすることがおすすめです。
仮ナンバーを使って自走させる、あるいは業者に依頼を行ってレッカー移動させるという方法で、車検切れの車も廃車にすることができます。
それでは、車を持ち込んだり、レッカー移動を求めたりする上で利用できる業者にはどんな種類があるのか見てみましょう。
まずは廃車の買取を専門的に行っている業者です。
特徴的なのは、原則として中古車としての転売を行わず、車をバラバラにして処分するという点になります。
事故車などの自走できない状態の車を廃車にする場合に特に有効な業者です。
一般的な中古車買取店では買取対象外となる車を引き取ってくれる可能性がありますが、査定額にはあまり期待できません。
車のコンディション次第では、数万円単位の解体費用が請求されることもあります。
廃車買取業者は、車を分解した際にパーツ取りを行い、それを売却することで利益を得ています。
そのため、車に価値のあるパーツが多ければ高く売ることができますし、反対に価値のあるパーツがほとんどない場合は解体費用を支払わなければなりません。
ごく一般的な中古車販売業者でも、車検切れの車をレッカー移動によって引き取り、買い取ることがあります。
この場合は解体が行われず、中古車として新しいオーナーの手に渡ることが一般的な流れです。
車の年式が新しく、走行距離が少ない場合は高値で売れる可能性がありますが、そうでなければシビアな査定を受けやすいことがデメリットです。
車検切れの車の場合、それだけで市場価値が下がりますので、同車種の相場価格より安く査定されることになります。
また、事故歴があったり、エンジンの故障により自走ができない状態だったりする場合、買取そのものを拒否される可能性も高まります。
買取を依頼してもできないというケースも珍しくなく、車検切れという状態ならば廃車業者を優先したほうが効率的でしょう。
車検切れの車を廃車にする方法は「一時抹消登録」と「永久抹消登録」の2種類です。
廃車にした後、車をどのように利用するのかについて事前に決めておき、適切な方法を選んで廃車を完了させましょう。
一時抹消登録は、一時的に陸運支局からの登録を抹消するという形の廃車方法です。
車はそのまま保管することができ、将来的に再びその車に乗りたいと思う日が来たら、車検を受けて自賠責保険に加入することにより、車を再登録して復活させられます。
たとえば長期間の出張や、ケガの治療などで一時的に自動車に乗れないという場合に一時抹消登録を行うと便利です。
抹消を行っている間は自動車税等の請求も行われず、税負担をすることなく車を維持することができます。
永久抹消登録は、その車を解体(スクラップ)して二度と乗れなくする形の廃車方法です。
一般的にイメージする「廃車」というと永久抹消登録であり、廃車買取業者を利用して車を売却する際は、基本的にこの方法を選んで廃車することになります。
手元から完全に車を無くす方法になりますので、税金はもちろん、駐車場代などの費用負担の心配が一切なくなります。
中古車としての価値を失っている車の場合は、永久抹消登録により廃車することが一般的です。
ほとんどの廃車買取業者が、面倒な廃車手続きをサービスとして代行しています。
業者によっては手数料を徴収することもありますが、サービスの一環として無料で手続きを代行する専門業者も多く、安心して任せることが可能です。
陸運支局や軽自動車協会は、平日の日中のみ廃車の申請を受け付けています。
多数の書類を揃えなければならない点も忙しいサラリーマンや主婦の方にとって大きなハードルですが、専門業者に手続きの代行を依頼すれば、こういった問題も取り除けます。
車検切れの車を廃車にする場合、以下の注意点があることを知っておきましょう。
車をローンで購入している場合、完済するまでの間は所有者がディーラーや金融会社が車の名義人になっていることがあります。
このケースでは、名義人の許可を得ずに勝手に車を廃車にすることはできません。
まずは名義人となっているディーラーや金融機関と連絡を取り、廃車にしたい旨を伝えましょう。
基本的にはローンの残債を一括返済することによって名義変更を行い、自分自身の名義にした上で、廃車手続きへと移行することになります。
手続きが面倒で長く放置を続けてしまうと、その間の税金が無駄になるだけではなく、車のコンディションを劣化させてしまいます。
メンテナンスを怠った車は細かなパーツにもダメージが及び、価値が低下してしまうのです。
その結果として、売れていたはずの車に価値が付かなくなり、廃車業者等に解体費用などの実費を支払わなければならなくなる可能性が高まります。
「どうせ車検切れだから」と放置せず、少しでも早く廃車に向けた手続きを行いましょう。
車検切れの車を廃車せず放置していると、その期間中の自動車税を支払わなければなりません。
仮ナンバーを取得して自分自身で車を移動させたり、業者にレッカー移動を依頼したりして廃車にできるので、早めの対応がおすすめです。
事故車やエンジントラブルを起こした車なども、廃車買取業者では手数料無料で引き取りと廃車手続きを行う場合があります。
今以上にコンディションが劣化する前に依頼を行い、お得に廃車を完了させましょう。