廃車は自分自身で思い描いたタイミングだけでなく、予期せぬシチュエーションで迫られることもあります。
事故や水害により車が故障してしまった場合などには、修理すべきか、それとも廃車にすべきかを悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、状況別に見た修理費用と廃車費用の差を徹底比較します。
また、基本的な廃車費用についても詳しく解説を行います。
廃車にするのが本当にお得なのかどうか、この記事を参考にしてみてくださいね。
事故車の廃車や修理にかかる費用は、損傷の度合いに応じて大きく異なります。
事故によって受けたダメージ別に廃車費用と修理費用を比較してみましょう。
その上で、廃車にすべきかどうかを見分けるポイントについてもお伝えします。
軽い追突事故や、駐車場などで起きた事故の場合には、本体には大きなダメージが及ばず、バンパーやドアなどの一部が破損することがあります。
この場合の修理費用は、軽度なものであれば数万円、高くても20万円以内に収まることがほとんどです。
こういったケースの場合は自走可能な状況と想定できるので、廃車にする場合にレッカー移動は必要ありません。
解体費用に関しても、中古業者や専門業者に依頼すれば、売却出来るパーツが多いと考えられるため、0円で済むことが一般的です。
この程度の故障で車を手放す場合は、廃車よりも買取を選んだほうがお得になることが普通です。
そのまま車に乗り続けたいのであれば修理を、手離したいのであれば買取を第一候補にするとよいでしょう。
エンジンは車の心臓部なので、修理費用は非常に高額なものになります。
国産車の場合は約50万円、輸入車の場合は100万円前後の修理費用がかかることが多いでしょう。
修理の内容としては、新しいエンジンに乗せ換えることが一般的です。
エンジンの故障中は自走ができないため、廃車にする場合はレッカー費用がかかることが多くなります。
解体費用に関してもパーツ取りから賄えない可能性もありますが、1.5万円~5万円前後が廃車費用の相場です。
ただし、業者によっては無料で済むこともあります。
フレームは車にとって非常に重要なパーツです。
フレームに負荷がかかると走行が不安定になることもあり、修理費用は100万円前後に及ぶことも珍しくありません。
廃車にする場合はレッカー代がかかることもありますが、0~5万円程度で廃車にできるでしょう。
フレームが破損した車は「事故車」として扱われることが多くなります。
買取を希望したとしても拒否されることが多く、スクラップに回されることが一般的です。
修理費は中古車が買えるほどの金額に達するので、廃車を選ぶことをおすすめします。
廃車にするか、それとも修理して乗るかを選択する際のポイントは、ずばり「自走できる状態かどうか」です。
自走できる車の場合は、軽い修理だけで元通りの状態になりますから、すぐに廃車を選ぶ必要はないでしょう。
自走できない状況にまで大破してしまった場合は、修理費用が50~100万円に達することもあります。
廃車費用はレッカー代を含んでも0~5万円以内に収まることが多いので、修理して乗り続けるよりは廃車を行い、新車や中古車に買い替えることがおすすめです。
水没は縁遠い世界の話のように感じますが、意外にも巻き込まれることが多い事故です。
台風などの災害を受けた場合のほか、ルーフの破損、あるいは窓を開けたままの状態で駐車している最中に豪雨に襲われることもあるでしょう。
この場合の修理費用の目安をお伝えします。
フロアマットまで浸水した場合の修理費用は、5~10万円程度となることが一般的です。
この程度までの浸水であれば、電気系統に大きなダメージが及んでいるとは考えにくく、比較的簡単な修理で車に乗り続けられると考えられます。
廃車にする場合も、自走できる状況であれば、印鑑証明代などを覗けば0円で解体まで行ってくれる場合がほとんどです。
買取という選択肢も十分に視野に入れられますから、まずは買取業者に買取の相談を持ち掛けてみてもよいでしょう。
ただし、水質によって修理費が上がったり、買取不可になったりする可能性があります。
浸かったのが泥水の場合は臭いが付いてしまうことがありますし、海水なら足回りにサビが付くこともあるのです。
クリーニング費用次第では、合計の修理費用が高額になります。
座席の上まで水で浸かってしまった場合は、水没を通り越して「冠水」という扱いになります。
この場合の修理費の目安は、エンジンなどの心臓部が無事だったとしても50万円程度になるでしょう。
エンジンが損傷している場合は100万円前後にまで修理費が上がります。
冠水した車の買い手は簡単に見つかりません。
そのため、中古車買取店から買取を拒否されることも多くなります。
廃車にする場合の費用は、自走できる場合は0~数百円、自走できない場合でも0~5万円程度ですが、損傷具合によって解体費がかかることがあります。
例えばエンジンやトランスミッションなどが完全に壊れていたり、カーナビなどの電気系統が故障していたり、ホイールが錆びていたりすると価値を失います。
解体業者がパーツの売却で解体費用を賄えなくなり、実費を請求されることがあるのです。
冠水した車を廃車する際、廃車費用をなるべくゼロに近付けるためのコツは、なるべく早く廃車の依頼を行うことです。
錆びは時間の経過と共に発生する特性があり、冠水直後には見られません。
そのため、車の価値を下げる前に解体を受けることができるのです。
窓を開けて換気することもカビ対策につながります。
臭いがついてしまったシートなどは価値を失うので、臭い対策も十分に行いましょう。
また、バッテリーやカーナビなどの電気製品は取り外し、放電しないように対策して保管することもポイントです。
また、マフラーの排気口にまで水が入り込んだ場合は、そのままエンジンを作動させると電気系統にトラブルが起こりやすくなります。
この場合は廃車業者と連絡を取り、レッカー移動させて見積もりを受けることにより、廃車費用を下げることができます。
最後に、廃車にかかる基本的な費用についてご紹介します。
廃車には一時抹消登録と永久抹消登録の2種類があり、それぞれ費用が異なります。
普通車か軽自動車かによっても費用が変わるので、この点もしっかりと把握しておきましょう。
普通車の廃車にかかる基本的な費用は、概算として個人の場合は300~650円程度です。
それに加えて専門業者に依頼する場合は手数料が、自分自身で手続きを行う場合は交通費の実費が必要です。
内訳も詳しくご紹介します。
・収入印紙代として350円(一時抹消登録の場合のみ)
・印鑑証明書代として300円(一時抹消登録の場合のみ)
・印鑑証明書代として300円(永久抹消登録の場合のみ)
なお、法人の場合は印鑑証明書代が450円に上がるため注意しましょう。
軽自動車を廃車にする際にかかる費用は、自動車検査証返納届を提出する際に必要は350円の収入印紙代のみです。
印鑑証明書は必要ないため、結果として普通車を廃車にする場合と比べて、廃車費用は安くなります。
事故などにより車を解体(スクラップ)するという場合は、解体費用が別途必要になります。
解体費用は、解体作業を実施する専門業者や買取店によって異なります。
ここでは、中古車としての買取が不可能だった場合を想定した金額をご案内しましょう。
解体業者は、解体した車から値打ちのあるパーツを取り出し、それを売却することで利益を出しています。
そのため、状態のよいパーツを取れる車の場合は、解体費用がゼロ円で済むことがほとんどです。
残念ながら売却できるパーツが見当たらないという場合も、普通車なら1~2万円程度で解体が完了するケースが大半を占めています。
決して安い金額とはいえませんが、法外な費用を請求される心配はありません。
エンジンが故障している場合などのように、公道を自走できない場合にはレッカー費用がかかります。
自走できる状態だとしても、車検が切れている場合には運転することができないため、レッカー移動を依頼しましょう。
レッカー費用の相場は1.5~2万円ですが、自宅から工場までの距離が遠い場合は追加料金がかかることがあります。
廃車業者によっては、レッカー費用をサービスすることもあるため、交渉する余地もあります。
新車登録の時期が平成17年以降という場合は、リサイクル費用を先払いしているため、費用を請求されることがありません。
しかしその前に新車登録を行っているのであれば、車の種類に応じたリサイクル費用の支払いが求められます。
車の種類 | 費用 |
普通車 | 10,000~20,000円 |
軽自動車 | 7,000~16,000円 |
廃車にするのがお得か、それとも修理するのがお得かは、破損の度合いによって異なります。
エンジン系統やフレームにまでダメージが及んでいる場合は、100万円前後の修理費がかかるため、廃車を第一の選択にするとよいでしょう。
廃車費用の基本は収入印紙代と印鑑証明書代で、これに加えて解体費用とレッカー費用、そしてリサイクル費用がかかることがあります。
概算として、廃車にかかる費用は、高くても4~5万円程度と見積もっておけば特に問題はありません。